議事録自動作成ツールの選び方【リアルタイム型vs貼り付け型】
議事録自動作成ツールにはリアルタイム文字起こし型と貼り付け型の2タイプがある。仕組み・メリット・デメリットを比較表で整理し、自社に合うタイプを判断フローで選べる選定ガイド。
「AI議事録ツールを導入したいが、どのタイプを選べばいいかわからない」——ツール比較サイトを見ると、NottaやOtter.ai、tl;dvなどリアルタイム型から、トランスクリプトを貼り付けるだけで変換できる貼り付け型まで、製品の種類が多く選定に迷う担当者は多い。
本記事では、議事録自動作成ツールの2大タイプの仕組みから、それぞれのメリット・デメリット、比較表、そして「自社に合うタイプはどちらか」を判断するためのフローを提示する。ツール選定前の情報整理として活用してほしい。
議事録自動作成ツールの2つのタイプとは?
議事録自動作成ツールは、会議音声をどの段階でどのように処理するかによって大きく2つのタイプに分類できる。最初にこの分類を把握しておくことが、ツール選定を失敗しないための第一歩だ。
リアルタイム型の仕組み
リアルタイム型とは、会議に「AIボット」として自動参加し、音声をリアルタイムで文字起こしして議事録を生成するタイプのツールである。
具体的な処理の流れは以下のとおりだ。
- ZoomやMicrosoft Teams、Google Meetのカレンダーと連携
- 会議開始と同時にAIボットが自動入室
- 会議中の音声をリアルタイムでテキスト化(文字起こし)
- 会議終了後、AIが要約・決定事項・アクションアイテムを整理して議事録を出力
代表的なツールとしては、Notta・Otter.ai・tl;dv・Fireflies.aiが挙げられる。会議後すぐに議事録が手元に届く利便性が最大の魅力だ。
貼り付け型の仕組み
貼り付け型(トランスクリプト変換型)とは、TeamsやZoomなどの会議ツールが標準で出力するトランスクリプト(文字起こしテキスト)を、AIツールに貼り付けて議事録に変換するタイプである。
処理の流れはシンプルだ。
- TeamsやZoomのトランスクリプト機能をONにして会議を実施
- 会議終了後、トランスクリプトをダウンロードまたはコピー
- AI議事録ツール(Minutoなど)にテキストを貼り付ける
- AIが議事録を自動生成(通常30秒以内)
リアルタイム型との最大の違いは、「音声データをクラウドに送信しない」点だ。すでにテキスト化されたデータだけを処理するため、音声レベルのセキュリティリスクが発生しない。
リアルタイム型のメリット・デメリット
リアルタイム型のメリット
1. 会議後すぐに議事録が完成する
リアルタイム型の最大の強みは、会議終了直後に議事録が手元に届く点だ。会議後の「議事録担当者が作業完了するまで全員が待機する」という状況がなくなり、アクションアイテムへの着手も即日可能になる。
2. 録音・文字起こし・議事録作成がワンストップで完結する
従来のワークフローでは「録音→文字起こし→議事録作成」の3段階を手動で繋ぐ必要があったが、リアルタイム型はこれを一括で処理する。会議担当者がトランスクリプトを別途取り出す手間が不要なため、導入後すぐに業務フローがシンプルになる。
3. 録画・タイムスタンプ・話者識別との連携が充実している
tl;dvやNottaのように、録画保存・タイムスタンプ付きハイライト・話者ごとの発言分離といった機能が統合されているツールが多い。「あの発言は誰が何分時点に言ったか」を後から確認できる機能は、リアルタイム型ならではの付加価値だ。
4. CRM・Slackなど外部ツールとの連携が豊富
Fireflies.aiやtl;dvはSalesforce・HubSpot・Slack・Notionとの連携機能を備えており、会議情報を業務システムに自動連携するワークフローの構築が可能だ。営業チームがCRM上で商談内容を管理するユースケースには特に強みを発揮する。
リアルタイム型のデメリット
1. AIボットの入室が参加者に見える
AIボットが会議参加者として表示されるため、社外顧客・取引先が参加する会議や、人事・法務など機密性の高い会議ではボット参加への事前周知・同意取得が必要になるケースがある。「なぜ録音されているのか」という参加者の不信感につながるリスクもある。
2. 音声データがクラウドに送信・保存される
リアルタイム型は音声をクラウドに送信して処理するため、情報セキュリティポリシーの審査が必要になりやすい。特に機密性の高い会議(経営会議・M&A検討・未発表製品の開発会議など)では、IT部門・法務部門の承認が得られないケースもある。
実際に、AI議事録ツールのセキュリティリスクを整理した資料では、「会議音声や議事録データがどこに保存され、誰がアクセスできるか把握していないケースが散見される」と指摘されており、導入前のデータポリシー確認が不可欠だ(参考:IBISセキュリティリスクまとめ)。
3. カレンダー連携などの初期設定に時間がかかる
ZoomやTeams・Google Meetのカレンダーとの連携設定、組織のMicrosoft 365またはGoogle Workspaceの管理者権限の設定など、初期導入作業が発生する。個人利用であれば数十分で済む場合もあるが、チーム導入ではIT部門の協力が必要になるケースも多い。
4. 日本語対応の品質にばらつきがある
英語圏で開発されたツール(Otter.ai・tl;dv・Fireflies.ai)は、日本語対応を後から追加しているため、英語と比較して文字起こし精度が劣る傾向がある。tl;dvやFireflies.aiはUIも英語のみで、日本語サポートも限定的だ。
貼り付け型のメリット・デメリット
貼り付け型のメリット
1. 音声データをクラウドに送信しないため、セキュリティリスクが低い
貼り付け型の最大の強みは、情報セキュリティの観点だ。TeamsやZoomがすでに文字起こしした「テキストデータ」だけをAIツールに渡すため、音声そのものは外部サービスに送信されない。AIボットを会議に参加させる必要もない。
この特性から、社内セキュリティポリシーが厳しい組織でもIT部門の承認を得やすく、機密性の高い会議でも利用しやすい。
2. 追加ツールをインストールせずに今日から始められる
TeamsやZoomのトランスクリプト機能をすでに使っている環境であれば、ブラウザだけで利用を開始できるサービスが多い。AIボット連携のための管理者設定変更も不要のため、IT部門への申請なしに個人・チーム単位でのトライアルが可能だ。
3. どの会議ツールのトランスクリプトでも利用できる
リアルタイム型はZoomのみ対応、TeamsとMeetのみ対応といった制約を持つツールもある。一方、貼り付け型はテキストデータを入力するため、TeamsでもZoomでもGoogle MeetでもWebex会議でも、あるいは電話会議の文字起こしでも同じワークフローで処理できる。
4. 日本語出力品質が安定している
音声認識の精度問題は会議ツール側(TeamsやZoom)が担当し、AI議事録ツール側はテキストの整形・構造化に集中できる。日本語ビジネス文書の形式に特化して開発されたサービスであれば、出力される議事録の品質が安定しやすい。
5. 月額コストを抑えやすい
録音・録画・リアルタイム処理といった高負荷な機能がない分、貼り付け型は低コストで提供されやすい。無料プランを活用しながら段階的に運用を拡大できるため、初期投資を抑えたい組織に向いている。
貼り付け型のデメリット
1. 会議ツール側のトランスクリプト機能が前提になる
TeamsのトランスクリプションはMicrosoft 365 Business Basic以上のライセンスが必要で、Teams無料版では利用できない。ZoomもPro以上のプランが必要だ。会議ツールのライセンス状況によっては、トランスクリプト機能が使えない環境もある。
2. 会議終了後にひと手間が発生する
リアルタイム型と異なり、会議終了後にトランスクリプトをダウンロード・コピーして貼り付けるという手順が発生する。この作業自体は2〜3分程度で完了するが、「会議が終わったら自動で処理してほしい」という完全自動化は実現しにくい。
3. 録画や話者識別などの付加機能は搭載されていないことが多い
録画の保存・タイムスタンプ付きハイライト・詳細な話者識別といった機能はリアルタイム型に軍配が上がる。議事録の生成に特化したツールであるため、会議の録画管理まで一元化したい場合は別のツールと組み合わせる必要がある。
比較表で見る2タイプの違い
2つのタイプの違いを、主要な観点から一覧で整理する。
| 比較項目 | リアルタイム型 | 貼り付け型(トランスクリプト変換型) |
|---|---|---|
| 仕組み | AIボットが会議に入室して音声をリアルタイム処理 | 会議ツールのトランスクリプトをAIに貼り付けて変換 |
| 代表ツール | Notta・Otter.ai・tl;dv・Fireflies.ai | Minuto |
| 議事録の完成タイミング | 会議終了直後(自動) | 貼り付け後30秒〜(手動トリガー) |
| 音声データのクラウド送信 | あり | なし(テキストのみ処理) |
| AIボット入室の必要性 | あり(参加者に表示される) | なし |
| セキュリティリスク | 音声データの送信・保存リスクあり | 音声データ非送信のため低リスク |
| IT部門承認の取りやすさ | やや難(音声データポリシーの確認が必要) | 取りやすい(テキストのみ処理) |
| 対応会議ツール | 連携設定が必要(ツールによって対応範囲が異なる) | Teamsでも・Zoomでも・Meetでも対応可 |
| 初期設定の手間 | カレンダー連携・管理者設定が必要 | 不要(ブラウザですぐ利用開始可) |
| 日本語精度 | ツールによる(Notta:高・tl;dv:中) | 会議ツール側の精度に依存(安定しやすい) |
| 録画・タイムスタンプ | あり(ツールによる) | なし(別途対応が必要) |
| CRM・Slack連携 | 充実(Fireflies.ai・tl;dv等) | ツールによる |
| 月額コスト(最安値) | 無料〜(有料プランは月額1,000円〜) | 無料〜(有料プランは月額980円〜) |
| 完全自動化 | 可能(会議開始から議事録完成まで自動) | 貼り付け作業が発生 |
| 向いている組織 | 会議頻度が高い・CRM連携重視・自動化優先 | セキュリティ重視・複数ツール使用・低コスト優先 |
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自社に合うタイプの判断フロー
「比較表を見てもどちらを選べばいいかわからない」という場合は、以下の判断フローを使って自社の状況に当てはめてほしい。
ステップ1:社内セキュリティポリシーを確認する
Q. 社内の情報セキュリティポリシーで、音声データを外部クラウドサービスに送信することは許可されているか?
「厳しく制限されている」または「確認が必要」 → 貼り付け型が適している
- 音声データを外部送信しない設計のため、IT部門の承認を得やすい
- セキュリティ審査のハードルが下がる
「特に制限はない」または「既に他のクラウドツールを業務利用している」 → リアルタイム型も選択肢に入る
- ステップ2へ進む
ステップ2:会議ツールの環境を確認する
Q. 現在使用している会議ツールはどれか?また、複数のツールを使い分けているか?
「TeamsまたはZoom中心で、トランスクリプト機能を利用中」 → 貼り付け型をすぐに試せる
- 既存のトランスクリプトをそのまま活用できる
- 追加設定なしで今日から利用開始可能
「Teams・Zoom・Google Meetを使い分けており、統一管理したい」 → 貼り付け型が合いやすい
- どの会議ツールのテキストでも同じワークフローで処理できる
「会議ツールを1つに統一しており、録画・話者識別まで一元管理したい」 → リアルタイム型が有力
- ステップ3へ進む
ステップ3:議事録作成の自動化ニーズを確認する
Q. 「会議が終わったら即座に議事録が手元にある」状態を最優先したいか?
「会議終了後の作業はできるだけゼロにしたい」 → リアルタイム型
- 会議開始から議事録完成まで完全自動化が実現できる
- 1日に複数件の会議がある担当者・営業職に特に有効
「2〜3分の手順を許容できる。その代わりコストを抑えたい」 → 貼り付け型
- 会議終了後にトランスクリプトを貼り付けるだけの軽作業
- ランニングコストを最小化しながら高品質な議事録を生成できる
ステップ4:AIボット入室への許容度を確認する
Q. 取引先・顧客が参加する会議でも使用するか?
「社外参加者のいる会議でも使いたい」 → 貼り付け型が無難
- AIボットが会議参加者として表示されないため、先方への事前説明が不要
- 商談会議・顧客との定例ミーティングでもスムーズに利用できる
「社内会議(メンバー全員が社員)に限定して使う」 → リアルタイム型も適用可能
- 参加者全員に事前周知するだけで問題なく運用できる
判断フロー まとめ
| 当てはまる状況 | おすすめタイプ |
|---|---|
| セキュリティポリシーが厳しい | 貼り付け型 |
| 複数の会議ツールを使い分けている | 貼り付け型 |
| 社外参加者がいる会議で使いたい | 貼り付け型 |
| 初期設定コストを抑えたい | 貼り付け型 |
| 月額コストを最小化したい | 貼り付け型 |
| 完全自動化を最優先したい | リアルタイム型 |
| 録画・タイムスタンプと一元管理したい | リアルタイム型 |
| CRM・Slack連携が必要 | リアルタイム型 |
| 社内限定会議で使う(全員が社員) | どちらも可 |
まとめ
議事録自動作成ツールの2大タイプ、リアルタイム型と貼り付け型の違いを比較した。
2つのタイプは「どちらが優れているか」ではなく、「組織の状況とニーズに合うのはどちらか」という観点で選ぶべきものだ。
リアルタイム型(Notta・Otter.ai・tl;dv・Fireflies.aiなど)が向いているケース:
- 完全自動化を優先したい
- 録画・タイムスタンプ・CRM連携まで一元管理したい
- 社内会議メインで、セキュリティポリシーに余裕がある
貼り付け型(Minutoなど)が向いているケース:
- 音声データのクラウド送信を避けたい(セキュリティ重視)
- TeamsやZoomなど複数のツールを使い分けている
- 社外参加者のいる会議でも手軽に使いたい
- 初期設定の手間とコストを最小化したい
どちらのタイプにも無料プランが用意されているため、実際のトランスクリプトを使って両方を試してから判断することを推奨する。「比較してから決める」というアプローチが、導入後の後悔を防ぐ最も確実な方法だ。
AI議事録ツール全体の機能・価格比較はAI議事録ツール5社を比較した記事を、Teamsでのトランスクリプト取得方法はTeams議事録自動作成の解説記事を参照してほしい。
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よくある質問
Q. リアルタイム型と貼り付け型、どちらが日本語の品質が高いか?
精度を左右する要素が異なるため単純比較は難しいが、日本語への特化という点では貼り付け型が安定しやすい傾向がある。リアルタイム型は音声認識エンジンの日本語対応品質がそのまま議事録品質に直結する。英語圏発のツール(tl;dv・Fireflies.ai・Otter.ai)は日本語精度に課題があるケースが多い。一方、貼り付け型はすでにTeamsやZoomが文字起こししたテキストを処理するため、AI側での音声認識エラーが発生しない。国内特化で日本語ビジネス文書に最適化されたサービスであれば、出力品質は安定しやすい。
Q. TeamsのトランスクリプションはすべてのMicrosoft 365プランで使えるか?
Teams無料版(Microsoft Teams Free)およびTeams Essentialsではトランスクリプション機能を利用できない。Microsoft 365 Business Basic以上またはOffice 365 E1/E3/E5のライセンスが必要だ。自組織のライセンス状況はIT管理者に確認することを推奨する。詳しくはTeams議事録自動作成の解説記事を参照してほしい。
Q. 貼り付け型ツールはCRM連携やSlack連携に対応しているか?
貼り付け型ツールの多くは議事録の生成・蓄積・検索に特化しており、CRM連携やSlack連携はリアルタイム型ツール(tl;dv・Fireflies.aiなど)ほど充実していないケースが多い。ただし、ツールによって対応範囲は異なるため、導入前に確認することを推奨する。CRM連携やワークフロー自動化を重視する場合は、リアルタイム型ツールの方が適している。
Q. 現在ChatGPTで議事録を作成しているが、専用ツールに移行する価値はあるか?
ChatGPTでの議事録作成には、プロンプトの試行錯誤・毎回のコピペ作業・出力フォーマットのブレという構造的な課題がある。専用の貼り付け型ツールはこれらの課題を解消するように設計されており、操作手順も簡略化されている。ChatGPTとの詳細な比較はChatGPTで議事録を作ろうとして挫折した人に試してほしい代替案でまとめているので参照してほしい。
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